消防用設備等にはどんな種類がある?点検対象の設備を一覧で解説

消防設備点検の対象になる「消防用設備等」と一口にいっても、その中身は消火器から自動火災報知設備、スプリンクラー設備、誘導灯まで多岐にわたります。自分の建物にどの設備が設置されていて、点検で何を見られているのかを把握しておくと、業者から届く点検票の内容も理解しやすくなります。この記事では、消防法施行令上の分類にそって、点検対象となる消防用設備等の種類を整理して解説します。

消防用設備等は大きく3つの区分に分かれる

消防法施行令第7条では、消防用設備等を「消防の用に供する設備」「消防用水」「消火活動上必要な施設」の3つに区分しています。さらに「消防の用に供する設備」は、消火設備・警報設備・避難設備の3種類に分かれます。全体像は次のとおりです。

区分 代表的な設備
消火設備 消火器具、屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、泡消火設備、不活性ガス消火設備、粉末消火設備、屋外消火栓設備 など
警報設備 自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、漏電火災警報器、消防機関へ通報する火災報知設備、非常警報設備 など
避難設備 避難はしご、緩降機、救助袋などの避難器具、誘導灯・誘導標識
消防用水 防火水槽、貯水池その他の用水
消火活動上必要な施設 排煙設備、連結散水設備、連結送水管、非常コンセント設備、無線通信補助設備

消火設備|火を消すための設備

もっとも身近なのが消火器具です。点検では設置場所や標識の有無、本体の変形・腐食、圧力ゲージの指示値などを確認します。製造年から一定年数が経過した消火器は、内部および機能に関する点検の対象になります。

屋内消火栓設備は、建物の関係者が初期消火に使う設備です。ホースやノズルの状態、消火栓箱の周囲に障害物がないか、ポンプが正常に起動するかを点検し、総合点検では実際に放水して放水圧力・放水量を測定します。

このほか、駐車場や電気室のように水をかけにくい場所には泡消火設備や不活性ガス消火設備、粉末消火設備が使われます。広い敷地の工場や倉庫では屋外消火栓設備が設置されることもあります。

スプリンクラー設備は点検項目がもっとも多い設備のひとつ

消火設備の中でも、規模が大きく点検項目も多いのがスプリンクラー設備です。天井のヘッドが火災の熱を感知して自動的に散水し、同時に流水検知装置が作動してポンプの起動と警報を行う仕組みになっています。人がいなくても働くため、初期消火の効果が高い設備です。

主な方式

  • 閉鎖型湿式:配管内に常時水が入っている、もっとも一般的な方式です。
  • 閉鎖型乾式・予作動式:凍結のおそれがある場所や、水損を避けたいサーバー室などで採用されます。
  • 開放型:舞台部など、一斉に放水する必要がある場所に用いられます。
  • 放水型:アトリウムなど天井が高い空間で使われます。

設置が必要になる建物

設置基準は消防法施行令第12条で定められており、11階以上の階、地下街、百貨店や物販店舗・ホテルなどで一定の延べ面積を超えるもの、自力避難が困難な方が入所する福祉施設などが代表例です。用途と面積の組み合わせで細かく決まるため、自分の建物が該当するかどうかは所轄の消防署に確認するのが確実です。

点検で見るポイント

機器点検では、ヘッドの変形や漏れ、ヘッド周囲に散水を妨げる障害物がないか、制御弁が開いた状態で維持されているか、加圧送水装置・非常電源・水源水量に問題がないかを確認します。総合点検では、配管の末端に設けられた末端試験弁を開放し、流水検知装置が作動して警報が鳴るか、ポンプが自動起動するか、規定の圧力が確保されているかを一連の流れで確認します。

実務でよく指摘されるのが、天井付近に荷物を高く積んで散水障害を起こしているケースと、間仕切りの変更でヘッドが未警戒になっているケースです。テナントの入れ替えや内装工事を行った際は、スプリンクラーの配置に影響が出ていないか確認しておきましょう。また、設置から長期間経過したヘッドは、抜き取りによる性能試験が求められます。

警報設備|火災をいち早く知らせる設備

中心となるのは自動火災報知設備です。熱・煙・炎を感知する感知器、受信機、地区音響装置などで構成され、点検では専用の試験器で感知器を作動させ、受信機の火災表示・地区表示灯が正しく点灯するか、ベルが鳴るか、予備電源に切り替わるかを確認します。

飲食店など燃料ガスを使用する建物ではガス漏れ火災警報設備、ラスモルタル造などでは漏電火災警報器が対象になります。病院や福祉施設では、消防機関へ自動的に通報する火災報知設備が求められる場合もあります。あわせて、非常ベルや放送設備といった非常警報設備も点検対象です。

避難設備|安全に逃げるための設備

避難器具には、避難はしご、緩降機、救助袋、滑り台、避難橋などがあります。点検では取付部の腐食やゆるみ、格納状況、降下する場所に物が置かれていないかを確認します。

誘導灯・誘導標識は、点灯状態と表示面の汚れ・破損に加え、停電時に非常電源で規定時間点灯し続けるかを確認します。ランプ切れや蓄電池の劣化が見つかりやすい設備です。

消防用水と消火活動上必要な施設

消防用水は防火水槽や貯水池などで、敷地が広い大規模な建物に求められます。点検では水量や吸管投入口の状態を確認します。

消火活動上必要な施設は、消防隊が到着してから使う設備です。排煙設備、連結散水設備、連結送水管、非常コンセント設備、無線通信補助設備が該当します。中高層ビルに設置される連結送水管は、通常の点検に加えて設置後の経過年数に応じた耐圧性能点検が必要になる点に注意が必要です。

どの設備が必要かは建物の用途・規模で決まる

必要な設備は、防火対象物の用途(飲食店・物販店舗・ホテル・共同住宅・事務所など)、延べ面積、階数、収容人員、地階や無窓階の有無といった条件の組み合わせで決まります。広島市中心部の中高層テナントビルではスプリンクラー設備や連結送水管、非常コンセント設備まで必要になる一方、郊外の小規模な事務所では消火器と誘導灯が中心、というように差が出ます。

設備の種類が増えるほど点検の工数も増え、費用にも反映されます。具体的な金額の目安は消防設備点検の費用相場はいくら?の記事で建物用途・規模別に解説しています。

まとめ

消防用設備等は「消防の用に供する設備(消火設備・警報設備・避難設備)」「消防用水」「消火活動上必要な施設」に分類され、それぞれに点検すべきポイントがあります。とくにスプリンクラー設備は点検項目が多く、日常の使い方によって散水障害が生じやすい設備です。自分の建物にどの設備があるのかを一度整理しておくと、点検の見積もりを比較するときにも役立ちます。

よくある質問

Q. 建物に設置されている設備の一覧はどこで確認できますか?
A. 過去の消防用設備等点検結果報告書や、建物竣工時の消防用設備等の図面で確認できます。手元にない場合は、点検業者に現地調査を依頼すると整理してもらえます。

Q. 設備の種類によって点検の頻度は変わりますか?
A. 多くの設備は機器点検が6か月ごと、総合点検が1年ごとですが、設備の種類によって異なります。消火器具・誘導灯・誘導標識・消防機関へ通報する火災報知設備・消防用水・非常コンセント設備・無線通信補助設備などは、機器点検のみで総合点検はありません。詳しくは消防設備点検の頻度は?機器点検・総合点検の違いをご覧ください。

広島県内で対応している業者

自動火災報知設備や消火器など、設備ごとに対応できる業者です。

Q. スプリンクラーのヘッドの前に棚を置いてもいいですか?
A. 散水の妨げになるため避けてください。点検時に散水障害として指摘される代表的なケースです。

広島県内で消防設備点検を依頼できる業者をお探しの方は、広島県の消防設備点検業者一覧で料金・対応エリアを比較できます。

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